健康社会に寄与する研究開発と人材育成を目指して


   
  

    私どもの統合生体医療工学研究室は、2012年10月に福島県郡山市の日本大学工学部にオープンしました。本研究室は、医学と工学の領域を統合した生体医療工学研究を行う福島県の拠点として設立されました。2013年度より開設された臨床工学技士過程では、医学と工学の両方の知識と技術を身につけた人材を育成するための中心的役割も担っています。

    当研究室が推進していることは、既存の枠組みを越えた医工連携と産官学連携による研究拠点づくりです。日本大学医学部に加えて総合南東北病院などの近隣の医療施設との医工連携体制、そして福島県内企業や県外の大手企業に郡山市を加えた産官学連携体制を構築しています。

    現在、私どもの研究室が注力しているのは、疾病予防と介護ケア分野です。例えば、IoT・Big Data・AIなどの先端技術を活用した次世代地域包括ケアシステム(“郡山モデル”)を開発し、郡山市と連携して市内のモデル地区において社会実装研究を行っています(「研究体制」を参照)。本システムは、センサー技術を活用して見守りを行う在宅型健康管理システムと公民館やスポーツジムなどに設置し、脳機能などの生理機能を日常的にモニターする地域型健康管理システムから構築され、個人の健康履歴(Personal Health Record)を蓄積し(Big Data)、AIを用いて認知症、ストレス、フレイル、ロコモシンドロームなど中高齢者に多い疾患を早期に発見することを目的に開発されています。さらに、認知症に対しては、化粧療法や運動療法など非薬事的療法を予防的介入法として導入するため、脳科学研究によりエビデンスを蓄積しています(「主な研究内容」参照)。

    最近(2017年)、私どもは深層学習法を用いた認知症リスク判定法を開発しました(特開2018-055333)。本法の特長は、健康診断における一般血液検査データを用いて認知症のリスク判定が行える点です。本法により認知症のマススクリーングテストが可能となり、軽度認知機能障害(MCI)を早期に発見し、認知症を予防することができるようになると考えています(「主な研究内容」参照)。

    私どもは、医学と工学の高度な技術と豊富な知恵を結集して、健康社会の構築により、福島の震災復興と地方創生に貢献できる成果をさらに生み出していけるよう全力で取り組んでまいります。

 

  • 研究室教授 酒谷薫 プロフィール

    酒谷薫 Sakatani Kaoru

    日本大学 教授

    • 工学部・電気電子工学科 教授 (統合生体医療工学研究室)
        次世代工学技術研究センター センター長
      医学部・脳神経外科学講座 教授 (兼担)

      早稲田大学 次世代ロボット研究機構・ヘルスケアロボティクス研究所 研究院客員教授 
      (客員上級研究員) (2018年4月~)

      ベルガモ大学 (イタリア) 社会心理学部客員教授 (2013年9月~)

      郡山市2025年問題対策に係る介護予防・日常生活支援アドバイザー、認知症初期集中支援チーム検討委員会委員

      日本大学工学部・電気電子工学科次世代工学技術研究センター医学部・脳神経外科(兼担)

      学位

      医学博士(大阪医科大学大学院、昭和62年授与)
      工学博士(北海道大学大学院、平成10年授与)

      受賞

      日本医師会医学研究奨励賞 (平成22年)
      「光イメージング法を用いた脳の健康に関する生涯発達研究」

      略歴

      昭和56年 大阪医科大学卒業、同年大阪医科大学大学院入学
      昭和62年 同大学院修了、
            New York大学医学部脳神経外科・博士課程研究員
      平成1年  同・助教授
      平成2年  Yale大学医学部神経内科・客員助教授(兼任)
      平成7年  北京日中友好病院・JICA長期派遣専門家(脳神経外科分野)
      平成15年 日本大学医学部脳神経外科学系・光量子脳工学分野 (浜松ホトニクス寄附講座) 教授
      平成24年より現職